DES・債務の株式化
»2010年8月20日 (金)
DES・債務の株式化とは、デット(Debt・債務)とエクイティ(Equity・資本)をスワップ(Swap・交換)することをいい、経営不振に陥った企業が自己の借入金を資本金へと振替えることにより企業再建を図る仕組みをいいます。
このDES・債務の株式化は平成18年の会社法改正前は、借入金が減少して、同額の資本金が増加するだけでしたから、たとえば、借入金額が1,000万円あってこれを解消しようとした場合
(借方)借入金1,000万/(貸方)資本金1,000万
という処理だけで、何ら税務上の問題は発生することはなかったわけです。
しかし、会社法改正後はこの債務を時価評価することとなりました。先ほどの例で、会社の総資産を時価評価した結果、700万しかなかったとすれば、債権者は、債権の70%相当額しか回収できないことになるため、その回収可能額の70%をもって債務を評価することになったというわけです。つまり、上記の取引は
(借方)借入金1,000万/(貸方)資本金700万
債務免除益300万
となり、課税所得が発生することとなったわけです。
なお、会社更生法や民事再生法などの手続の中で、DES・債務の株式化が行われる場合には、債務免除益の額の範囲内で期限切れ欠損金額の損金算入が認められます。