企業組織再編税制-その3
»2010年9月21日 (火)
企業組織再編成の手法
(2)株式の交換
事業の拡大や再編を目的として他の企業を買収しようとする場合は、通常、被買収企業の株式を買い取るための資金が必要となります。しかし、この「株式の交換」を使えば、自社の株式と被買収会社の株式とを「交換」することで、目的とする会社を自己の支配下に置くことができるというわけです。
たとえばA社(株主a)がB社(株主b)を自己の支配下に置きたいとします。この場合A社は株主bからB社株式を先ず、譲ってもらい、B社をA社の配下に置きます。次に、株主bに対してはA社株式をB社株式の対価として与えることでこの株式交換のスキームは完成します。
この株式交換について、税務は原則として「所有している株式を売却していったん現金を受取り、その現金で新たな株式を購入した」と考えますから、株式交換に応じた株主には株式売却益に対する課税がなされることになります。
しかしながら、実際には金銭を伴わない株式交換について株主に課税するのは担税力の面で問題があり、また、株式交換制度そのものの発展を阻害するとの考えから一定の要件を満たす「適格株式交換」については売却益課税が行われないことになっています。
この「適格株式交換」の要件については、後で述べることとします。