弁護士に支払う着手金の取り扱い
»2010年8月10日 (火)
弁護士に支払う費用は一般的に「着手金」「報酬金」「手数料」「法律相談料」「顧問料」「日当」「実費」などがありますが、このうち「着手金」「報酬金」の内容は次の通りです。
着手金:
弁護士に事件の解決を依頼した段階で支払うもので、裁判の結果に関係なく、つまり不成功に終わっても返還はされません。また、この着手金は報酬金の内金でもなければ、いわゆる手付け金でもありません。
報酬金:
事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払うものです。成功には一部成功の場合も含まれますが、たとえば、全面敗訴といった場合は支払う必要はありません。
一方、法人税法における損金算入の要件としては、いわゆる「債務確定基準」があります。その内容は次の通りです。
(1)事業年度終了の日までにその費用に係る債務が成立していること
(2)事業年度終了の日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
したがって、着手金が裁判の進展に関わらず今後、相互に請求等を行わないことを約束したものであるならば、その支払時点において金額が確定し、支払いも成立していると考えられ、また、その支払いも訴訟を前提にし、金額の算定も明確であると考えられますから、上記債務確定基準の要件をすべて満たしており、支払い時点での損金算入が認められものと考えられます。