役員給与・業績悪化改定事由の事例
»2010年8月7日 (土)
役員報酬の額は、いったんこれが決定された後は、特定の場合を除き、増額した場合はもちろん、減額した場合であっても、課税問題が発生します。
ただし、役員報酬の額を、事業年度の中途で、法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由により減額改定した場合、その事業年度のその改定前と改定後のそれぞれの期間における支給額が同額であるものは、定期同額給与に該当し損金の額に算入されることとされています。
この「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいい、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないこととなっています。
具体的には、次のようなケースであれば、その「業績悪化改定事由」に該当することになるものと考えられます。
(1)株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
(2)取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
(3)業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
何れにしろ、その理由はかなり限定的なものとなりますから、安易な減額改定はできるだけ差し控えたほうが得策と思われます。