法人税入門(13)-売上原価の計算
»2010年10月21日 (木)
法人税の計算の基礎となる儲け(=所得)は、先ず、当期の利益(=会計上の儲け)を正しく計算することからスタートします。
これを一般的な損益計算書の順序に従って説明して行くと、最初に「売上高」が来ます。次が「売上原価」です。
この売上原価は会計上、次の算式で計算されます。
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
「期首商品棚卸高」は前期末の「期末商品棚卸高」で、前期から引き継がれたものですから、これを変えることはできません。しかし、期末商品棚卸高はこれを多く計上すれば、売上原価が小さくなって、利益が多く計上されてしまいます。逆に、期末商品棚卸高を少なく計上すれば、売上原価がふくらんで、利益は少なくなってしまいます。
前者は、いわゆる「粉飾決算」で使われる手です。株主や銀行対策上、どうしても赤字決算を避けたい場合などに使われます。後者は、当然、税金を減らしたいときに使われます。意図的にやれば、明らかな「脱税行為」です。
棚卸資産の評価の方法には、「原価法」と「低価法」の2つがあります。
「原価法」とは、期末時点で保有する在庫を取得価額で評価する方法をいいます。取得価額の計算方法については後でお話しします。
一方、「低価法」とは、取得価額と期末時点でのいわゆる時価とを比較して、いずれか低い方の価額で評価する方法をいいます。