法人税入門(17)-役員報酬
»2010年10月25日 (月)
社長に対する給料といえども、法人税の計算上は会社の経費となります。ここが個人事業と決定的に異なる点です。
個人事業の儲けが1千万あったとしたら、その儲けに対して「所得税」という税金がかかってきます。実際には、儲けから社会保険料などを差引いて税金を計算しますが、仮にそういったものをゼロとして計算すると、所得税は約180万円です。
では、個人事業を法人化して、社長に1千万の給料を払ったらどうでしょうか?会社の儲けが役員報酬を払う前で1千万。役員報酬が同じく1千万ですから、会社の儲けはなし。すなわち法人税はゼロです。
当然、役員報酬をもらった社長に対しては所得税がかかります。しかしこの場合の所得税は、個人事業者に対してかかる税金とは、同じ所得税でも計算構造が異なります。個人事業者に対する税金は、先ほどお話ししたように「儲け」そのものに対してストレートにかかってきます。
これに対し、給料の場合は「給与所得控除」といって、給料の総額から一定額が引かれ、残った金額に対して税金が計算されることとなっています。この控除額は給料の大体2~3割です。給与1千万だと、給与所得控除は220万円。結果、所得税は約116万円ほどとなってしまいます。
同じ事業の儲けが1千万でも、個人事業だと180万円の税負担。かたや法人の場合は116万円の税負担。「法人化」すれば、節税できるというのはこういったカラクリがあるからです。