法人税入門(18)-役員報酬②
»2010年10月26日 (火)
個人事業を「法人化」して、役員報酬を経費に計上すると個人、法人トータルでの税負担は軽くなるということを昨日お話ししました。
もちろん、「法人化」は本来、節税だけを目的として行うものではありませんし、社会保険料等の負担も同時に考えないと、結局、手間だけ増えてお金を損したということにもなりかねません。
さて、その「役員報酬」ですが、税務上は非常に厳しい制限が課せられています。役員報酬又は役員賞与を経費として認めてもらうためには、その支給の方法等が次の3つのいずれかに該当することが求められます。
(1)定期同額給与
1か月以下の一定期間にわたって毎回、同額が支給される給与のこと。一般的な意味での役員報酬はこの「定期同額給与」のことをいいます。期中にむやみにこれを増やす場合はもちろん、減らした場合でも、一定部分を費用とて認めてもらえない決まりがあります。
(2)事前届出賞与
本来、役員賞与は税務上、経費として認められませんが、税務署に事前に届出をし、所定の時期にあらかじめ定めた金額を支給する場合は経費とすることができます。
(3)利益連動給与
利益に連動して役員に支払われる給与のこと。ただし、利益連動給与の損金算入が認められるのは、同族会社ではない法人に限られ、その算定方法も有価証券報告書で開示するなどの要件を満たす必要があります。したがって、中小企業にとっては現実的な方法ではありません。