法人税入門(19)-役員報酬③
定期同額給与とは?
役員に対する給料の支払い方法のうちのひとつである「定期同額給与」についてさらに詳しくお話しします。
定期同額給与とは支給時期が1ヶ月以下の一定期間ごとで、支給額がずっと同じであるものをいいます。
役員報酬は通常、定時株主総会で役員報酬の総額を決定し、取締役会で個々の役員の報酬額を決定します。ですから、たとえば、3月決算の会社が5月の株主総会・取締役会で、社長の給料を今まで月100万から月150万に改定し、これを6月から支給すると決議しますと、4月から5月までが定期同額給与(100万)、6月から以降の分(150万)が新たな定期同額給与となるというわけです。
この決定は、新しい事業年度が始まって3ヶ月以内にしなければなりません。3ヶ月を超えて、今期はどうも儲かってそうだから、ちょっと社長の給料増やそうかってやっても、増やした分は経費に認めてもらえないということです。
じゃあ、逆に会社の状態が今期に入って少し悪くなったので、社長の給料も少し落とそうとなったらどうでしょうか?上の例で、12月からの給料を130万にしたら、なんと、その130万が定期同額給与となってしまいます(!)
つまり、6月から11月までの150万のうち130万を超す20万が定期同額ではないとみなされ、20万×6か月=120万が経費に認められないこととなってしまいます。
もちろん、常に減額が認められないということではなく、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」があれば認められることとなっていますが、具体的には「取引銀行と借入金返済についてリスケジュールの協議をした場合」などかなりきびしい条件が付いています。ただ、単なる売上不振などでは役員報酬の減額は認めてもらえないということです。