法人税入門(30)-減価償却⑦
»2010年11月7日 (日)
減価償却の例外のふたつ目は償却率の例外です。通常の減価償却率は定率法、定額法の別に耐用年数省令で定められています。
例外というのは「租税特別措置法」によって定められた「特別償却」という制度です。「租税特別措置法」というのは一定の産業政策的要請や財源不足を補うなどの目的で、特別に税を徴収する、あるいは減税するために設けられた法律をいいます。
「特別償却」には非常に多くの制度がありますが、基本的な計算方法は次のふたつに分かれます。
1.初年度特別償却
通常の償却限度額(これを「普通償却限度額」といいます。)に加えて、取得価額の一部を償却初年度に限って「特別」に償却する方法です。
普通償却限度額+特別償却限度額=償却限度額
(※特別償却限度額=取得価額×一定率)
2.割増償却
1とは異なり、普通償却限度額を一定期間にわたって割増しする方法です。
普通償却限度額+特別償却限度額=償却限度額
(※特別償却限度額=普通償却限度額×一定率)
具体例として制度の内容をひとつ紹介すると、最も代表的なものに「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」という制度があります。
この制度は中小企業者(資本金1億円以下の法人をいいます)が、新品の機械及び装置(1台が160万円以上のものの)などを取得等して一定の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却を認めるというものです。
特別償却限度額=取得価額×30%
指定事業とはいえ、一部の風俗関連産業を除き、ほとんどすべての事業が対象となりますから、非常に多くの会社で利用することができます。