法人税入門(32)-修繕費か資産の取得か②
修理、部品の取り換え等に係る支出については「修繕費」で処理できる場合と新たな資産の取得として処理しなければならない場合の2つがあり、その判定については2つの法人税基本通達にそれぞれの例示がある旨をお話しました。
ただし、これら2つの法人税基本通達によっても判断がつかない場合は、さらに、以下の通達に従って判断して行くこととなります。
法人税基本通達7-8-3 少額又は周期の短い費用の損金算入
基本通達の7-8-1では「建物の避難階段の取付けなど物理的に付加した部分の費用」等については「資産計上」しなければならないとなっていますが、そういう場合であっても、次の①、②に該当する場合は修繕費として費用処理することができることとなっています。
①.ひとつの修理、改良等のために要した費用の額が20万円に満たない場合
②.その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
法人税基本通達7-8-4 形式基準による修繕費の判定
ひとつの修理、改良等のために要した費用の額のうちに資産計上とすべきか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合に、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として費用処理することができます。
①.その金額が60万円に満たない場合
②.その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
法人税基本通達7-8-5 資本的支出と修繕費の区分の特例
ひとつの修理、改良等のために要した費用の額のうちに資産計上すべきか修繕費であるかが明らかでない金額(上の2つの規定の適用を受ける場合を除きます)がある場合に、法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費として処理している場合にはこれが認められます。