無報酬役員の退職給与
»2010年9月7日 (火)
法人税法上、退職した役員に対して支給した役員退職金のうち、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入できないと定められています。
しかし、具体的な適正額、すなわち、不相当に高額ではない退職金がいくらなのか、という点については「その役員がその会社の業務に従事した期間、その退職の事情、同業種同規模法人における役員退職金の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額」と定められているにすぎません。
そこで、一般に役員退職給与の限度額は次の2つの方法により計算されることとなります。
(1)功績倍率法
功績倍率法とは、次の算式により退職金の限度額を求めようとする方法です。
退職直前の報酬月額×勤続年数×功績倍率=退職金限度額
功績倍率は、役員退職金を巡る裁判例では3倍前後とされたものが多く、また民間の調査でも平均的な功績倍率はおおむね3倍弱のようです。
(2)1年当り平均額法
この方法は、退職金を支給しようとする役員が、たとえば退職時に非常勤取締役であるため、その最終報酬月額が代表取締役であった当時に比べて減少しているといった場合など、上記、功績倍率法では合理的な退職給与の額が計算されがたい場合に採用される方法です。
具体的には、類似する法人を数社選定し、その平均的な1年当たり退職金額をもとに次の算式により退職金限度額を求めようという方法です。
比較法人の1年当たり退職金平均金額×勤続年数=退職金限度額
しかし、類似法人の退職金に関するデーターは通常入手することが困難であるため、実際には、公表されている退職金に関するデーター等を基に他社の支給実績との比較検討を行うこととなります。