特定の事業用資産の買換え特例
»2010年9月1日 (水)
法人が自己の有する資産の売却をして、その売却代金で新たな別の資産を購入しようとする場合であっても、資産の売却益に対しては通常の事業上の利益と合わせて法人税が課され、新たな資産の購入に支障を来たす場合があります。
このため、法人が一定の要件を満たす事業用の資産を売却して、新たな別の事業用資産に買い換える場合には、「特定の事業用資産の買換え特例」の適用を受けることで課税の繰り延べを図ることができます。
具体的には、新たな事業用資産の取得価額を、旧資産の売却益の80%まで圧縮することで、「固定資産圧縮損」という損失を計上し、その圧縮損と売却益とを相殺するという手法です。
ただし、新たな事業用資産の取得価額は圧縮後の金額となりますから、その後の事業年度における減価償却費は少ない金額しか計上することができません。また、減価償却のない土地の場合には、その土地を将来売却した時に、過去の圧縮損がいっきに譲渡益として実現することとなります。圧縮が節税ではなく課税の繰り延べといわれるのはこのためです。
この特例の主な適用要件は次の通りです。
1.事業用資産であること(ただし、棚卸資産を除きます)
2.買い換える土地の面積は原則として譲渡した土地の5倍以内であること。
3.買い替え資産の所有期間はその資産の種類に応じて様々ありますが、代表的なものとしては
・譲渡資産:国内にある土地等、建物又は構築物で、所有期間が10年を超えるもの
・買換資産:国内にある事業の用に供される土地・建物・減価償却資産(船舶を除く)
というものがあります。
4.買換え資産は原則として所有資産を譲渡した年、その前年中、あるいは翌年中に取得し、取得後1年以内に事業用に使用すること。