租税公課の処理
租税公課は、一般に「税金」と同義ととらえられますが、正確には「租税」と「公課」を合わせたもので、租税とは税金、公課とは租税以外の賦課金や罰金などのことをいいます。
租税公課は、法人税法上、「費用になるもの」と「費用にならないもの」に区別されます。
先ず、所得処分の性格を有する法人税及び住民税、罰則的な性格を有する延滞税、過少申告加算税、無申告加算税などは費用となりません。交通違反をした場合などの罰金や科料、過料なども同様に費用とはなりません。会計上は「費用」として処理されても、申告書上で利益に加算されることとなります。
ちなみに「科料」とは刑法の規定で、軽い犯罪について科される財産刑。「過料」とは行政上の規定で、軽い禁令を犯した者に対して科される金銭罰をいいます。両方とも「かりょう」と読みます。
これに対し、印紙税、事業税、固定資産税、自動車税などの租税公課は原則として費用になります。ただし、事業税などの申告納税方式のものは申告した日、また、固定資産税、自動車税などの賦課課税方式のものはその賦課決定がされた日を含む事業年度の費用となります。
当然、租税公課は、対価性のない支出として消費税法上は仕入税額控除の対象とはなりません。
ただし、資産を購入する際、その資産に課された固定資産税、自動車税等の未経過分を相手方に支払う場合には、その未経過分も資産の対価として取り扱われますから、それが課税対象資産である限り、未経過分を含む全額が仕入税額控除の対象となります。
これは、売った側に支払う固定資産税は、あくまで「固定資産税相当額」であって、売却価格の上乗せ分と考えるからです。
また、輸入貨物を保税地域から引取る場合は関税、保険料を含む価格(CIF価格)を課税標準として消費税が課税されるため、関税部分も仕入税額控除の対象となります。