事業承継の法制度-その4
»2010年9月15日 (水)
自社株に係る贈与税の納税猶予とは?
一般に贈与税の税率は高く、財産の価格が1千万を越える部分の税率は50%にもなります。
「自社株に係る贈与税の納税猶予」とは、この高率な贈与税の税率を避けるため、一定の要件を満たす自社株の贈与については贈与税を猶予しようという制度です。ただし、あくまで「納税猶予」であって「納税免除」ではありません。一定の要件を満たさなくなったときには、納税義務が発生してしまいます。
この制度は、平成21年4月1日以降の自社株の贈与について適用されますが、その要件や手続きは次の通りです。
先ず、贈与を行う前に、納税猶予を受けようとする株式の発行会社やその株式を贈与しようとする者(贈与者)、贈与を受ける者(受贈者)について経済産業省の「確認」を受け、実際に贈与が行われた時はその年の翌年1月15日までに今度は、同省の「認定」を受けなければいけません。その要件とは次の通りです。
先ず、納税猶予を受けようとする株式の発行会社が「中小企業者」に該当すること。ただし、医療法人や資産管理運営会社、従業員のいない会社などは対象外です。
贈与者は①その会社の代表者であったこと、②贈与時までに会社の役員を退任すること、③贈与直前において贈与者及びその同族関係者で総議決権数の50%超を保有していること、④受贈者を除いた同族関係者内で筆頭株主であったことが要件です。
受贈者は①その会社の代表者で、役員等の就任から3年以上を経過していること、②贈与者の親族で、20歳以上であること、③受贈者及びその同族関係者で総議決権数の50%超を保有していること、④同族関係者内で筆頭株主となっていることが要件となっています。