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令和6年分民間給与実態統計調査について

»2025年10月22日 (水)
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令和6年分民間給与実態統計調査について

先日国税庁から発表された令和6年分の給与統計について、みなさんの事業運営に関わる重要なポイントをお伝えしたいと思います。

■調査結果の表面的な明るさ

国税庁の発表では、平均給与が478万円と過去最高を更新しています(前年比3.9%増)。給与所得者数も5,137万人(1.2%増)と増加し、全体の給与総額は245兆円(5.2%増)に達しています。

また、定額減税の効果ですが、4,087万人の方が適用を受け、総額1兆7,109億円の減税が実現されました。これにより所得税額は7.2%減少しています。

ただし、企業規模による格差は深刻です。資本金10億円以上の大企業では平均673万円なのに対し、個人事業所では266万円と2.5倍の差があります。正社員545万円に対し非正規206万円、男性587万円に対し女性333万円と、構造的な格差が依然として存在しています。

■見過ごせない深刻な課題

多くの方が日々の買い物で実感されているように、実質賃金は2年以上マイナスが続いているのが現実です。厚生労働省の統計では、2022年4月以降、物価上昇に賃金の伸びが追いついていません。つまり、名目では給与が上がっても、実際の購買力は下がっているということです。

さらに深刻なのは30年間の国際競争力の低下です。OECD統計を見ると、この間日本の賃金はほぼ横ばいなのに対し、アメリカやドイツ、フランスなどは大幅に上昇しています。日本は先進国の中で完全に取り残されているのが現状です。

そして、多くの方に最も関係するのが、中小企業での賃上げの限界です。中小企業庁の白書や連合の調査でも、2024年の賃上げは主に大企業で実現されており、中小企業では十分な改善が見られていません。

今回の国税庁の調査結果は表面的には良好ですが、実質購買力の低下、国際競争力の劣化、構造的格差の拡大という根本課題は山積しています。人材確保と事業継続のための賃上げ戦略をどう考えていくか。我々に課された課題はあまりにも大きいと言わざるをえません。

●主要データソース
・国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」
・ 厚生労働省「毎月勤労統計調査」
・OECD「Average wages」統計
・中小企業庁「中小企業白書」
・連合「春季生活闘争」集計結果

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