同族会社の行為計算の否認
»2010年7月23日 (金)
大企業では多くのの株主がその会社の経営をチェックしますが、いわゆる「同族会社」では少数の株主が会社を支配し,税負担を不当に軽減するような行為が比較的、簡単に行える環境にあります。たとえば、恣意的に不当な合併比率を決め、同族会社同士で合併を行ったり、他の取引先に対する販売価額に比較して、異常に低い価額で関係会社との取引を行うなどの場合がそうです。
そこで、税法では、このような同族会社の租税回避行為を牽制する目的から、同族会社等の取引で、「これを認めた場合には、法人税などの負担を不当に減少させる結果になる」ものがある場合に、税務署長はその法人の行った取引や計算にかかわらず、適正な取引が行われたものとして法人税などの課税所得や法人税額などを計算することができるという同族会社の行為計算の否認規定を設けています。
いわゆる、「租税回避の否認規定」ですが,租税回避の定義自体がないこと、また、租税回避と節税との区別がつきにくいこともあり、実際の適用に当たっては、税務当局も大変、慎重な判断が要求され、そう簡単には発動することはありません。まさに“伝家の宝刀”と呼ばれるゆえんです。
この行為計算の否認規定は,同族会社だけでなく,平成13年度税制改正では「組織再編成に係る行為又は計算の否認」規定が,平成14年度税制改正では「連結法人に係る行為又は計算の否認」規定が設けられています。
また、法人税法だけでなく, 所得税法や相続税法においても同様の規定が設けられています。