法人税入門(20)-役員報酬④
»2010年10月28日 (木)
個人事業を法人化して社長に「役員報酬」を支払うと、それが経費となって個人と法人のトータルの税負担を軽減できる、ただし、それだけに「役員報酬」には厳しい制限があることをお話ししました。
では、その「役員報酬」が支払われる「役員」とはそもそも何でしょうか?
法人税法上の役員とは、「法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者」とされています。
取締役や執行役というのは一般的なイメージとしてもよく理解できますが、では「これら以外の者で法人の経営に従事している者」とは具体的にどういう人をいうのでしょうか?
先ずひとつは、「相談役」や「顧問」といわれる人達で「その会社の経営に携わっている人」です。呼び名が「相談役」であっても、経営には全くノータッチという人は「役員」には含まれません。父親が息子に社長の地位を譲り、自らは「相談役」となって身をひいたが、経営上の判断については依然、その意見を無視することはできない-といった場合を想像していただければ分かりやすいかと思います。
もうひとつは、持株割合での判断です。簡単にいいますと、同族会社で親族一同の持株割合が50%を超えるグループに属し、なおかつ、「経営に従事」している場合は、たとえ、会社での表面上の地位は一使用人であっても、「役員」とみなされてしまいます
「経営に従事」しているかどうかの判断は、現実にはなかなかむずかしいものがありますが、同族会社の社長の奥さんなどは、自身は全く株を保有していなくても「役員」と判断される“危険性”があるということは覚えておく必要があります。