法人税入門(22)-役員報酬⑥
»2010年10月30日 (土)
役員賞与の取り扱い
役員に対する月々の報酬は毎月定額で、「過大」なものでない限り費用として処理することができます。しかし、役員に対する「賞与」は税務署に事前に届け出たものを除いて、費用として認めてもらえません。
平成18年の会社法改正により、利益処分案が廃止され、役員賞与も利益処分項目ではなく、期間費用として損益計算書の「販売費及び一般管理費」として処理されるようになりました。しかし、会計では期間費用として認められている「役員賞与」も、税務では以前と同じ扱いのままです。
唯一、役員に対する賞与で費用として認められるのは「使用人兼務役員」に対する賞与です。「使用人兼務役員」とは「役員のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するもの」をいいます。
ただし、代表取締役や副社長、専務、常務などは兼務役員となれません。さらに、その役員の属する株主グループの持株割合が50%を超えている場合など、支配的な株主グループに属している場合も同様に兼務役員とはなれません。
また、たとえ兼務役員の要件を満たしている場合であっても、その兼務役員に対して支払われる賞与の額が「他の使用人に対する賞与の支給の状況等に照らして、使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額」を超える場合にはその超える部分の金額は費用として認められません。
なお、この場合の「使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額」とは、役員ではない使用人で同様の業務に従事する者等に対する賞与を基準に算定することになります。