法人税入門(9)-「基本通達」ってナニ?
»2010年10月17日 (日)
税金は、当然のことながら「法律」に基づいて課されます。しかし、「法律」で、現実の複雑な取引に対する取扱いをすべてひとつひとつ規定することはできません。そこで、課税庁側が税務の現場で、統一的な対応が図られるように取り決めたのが、「通達」と呼ばれるものです。
たとえば、法人税が会社の売上から仕入代金などの費用を差し引いて、プラスならばそこに一定の税率をかけて計算される―ということは「法律」に書いてあります。しかし、その「売上」の具体的な内容、それが「商品の販売」であれば、「販売」とは具体的にどういうことかということまでは「法律」には書いてありません。
「商品の販売」とは、商品を引き渡したことをいい、さらに、商品の引き渡しとは、商品を発送した時、相手が受け取った時、届いた商品をお客様がチェックした時など、その会社の実情に応じ、最も合理的な方法で決めなさい、ただし、一度決めた方法は継続して適用しなければいけませんよ―ということを決めているのが「通達」です。
「通達」とは、正確には国税庁長官から各国税局長に伝えられる「法令の解釈」、「税務行政上の指針」のことですから「法律」ではありません。あくまで、お役所内部での“現場マニュアル”に過ぎないのです。しかし、現実には、「法律」と同等の力を持っています。
税務調査においても「それは通達にこう書いてあります。ですから経費には認められません」といった言われ方をします。実際には「通達」でもシロクロつかない事柄が多々ありますからよけい悩ましいのですが、「通達」に明確に規定されていることであれば、これを覆すことは容易なことではありません。