医療法人・持分の有無
»2010年7月25日 (日)
平成19年の医療法改正により、新たに設立される医療法人は「出資持分のない医療法人」のみに限られることになりました。一方、既存の医療法人の大多数を占める「出資持分のある医療法人」は当分の間、退社時の出資持分の払戻請求権と、解散時の残余財産分配請求権という財産権を保全されて存続することとなりました。
「出資持分のある医療法人」は定款に、社員(=出資者)が退社して社員資格を喪失した場合には出資額に応じて払戻しを請求できること、また、法人が解散した場合には残余財産を払込済出資額に応じて分配すると定められていて,設立時に出資した社員は,その出資持分に応じた権利が認められています。
ただし、退社時に持分の払戻し請求があった場合には,出資は時価で払い戻されることになるため、含み益が大きいと多額の財産が医療法人から流出し、医業法人の経営に多大の影響を与えるようなことにもなりかねません。
一方、時価ではなく払込済の出資額で払戻しをすると,出資者が含み益部分を放棄したことになり、それが残りの出資者への贈与とみなされる可能性もあります。
持分のない法人に移行するには出資者全員の持分放棄が必要であり、それが法人への財産贈与になって、出資者等の相続税負担が不当に減少する結果となる場合には,医療法人を個人とみなして贈与税課税が生じる可能性もあります。