役員給与の一部が「不相当に高額な部分の金額」として国側の主張が認められました
»2023年3月25日 (土)
法人が支出する役員報酬については、「不相当に高額な部分」は費用に認めないとする規定が法人税法にはあります。
ただし、実際には税務当局によって、役員報酬の一部が否認されるというケースは多くありません。これは、当局においても「適正な役員報酬」の算定が容易ではないという理由があるからです。
とはいえ、当然、裁決例や判例がゼロということではありません。今回の判決は今年の3月に東京地裁で下されました。原告の会社は味噌等の製造・卸・販売等を目的とする会社(9月決算法人)で、平成25年9月期から平成28年9月期の4事業年度で、役員3名に対して支給された約23億円の役員報酬のうち、約14億円が「不相当に高額な部分」と判断されたというわけです。
ポイントとしては4年間で同社の売上高も、売上総利益も大きく減少したにもかかわらず、逆に、役員報酬は全体として大きく増加したことがあげられます(1名は前年比約3倍に増加) 過去の事例でも、前年と比較して役員報酬が急激に増加したことを理由に費用に認められなかったということが多いのです。
民間の給与について行政がクレームをつけるという今の制度は個人的には”越権行為”であると思います。また、実際には役員報酬が否認された例は数としては少ないのですが、少なくとも役員報酬を前年と比較して急激に増やすことについては、やはり、一定の注意は必要だということは言えそうです。